令和5年11月定例会 一般質問全文

12月14日に岡山県議会 令和5年11月定例会の一般質問に登壇しました。

前回に引き続き、保育士の事についてや、みなさんからたくさんの声をいただいた地域交通・横断歩道について質問しました。

これからも岡山県や地元県北のためにみなさんの声をしっかりお聞きし、身近な声を県政へ訴えていきます。

今後とも変わらぬご支援をよろしくお願いいたします

以下は質問の全文になります。

目次

1.保育士の確保について

(1)若い世代へのアプローチ

6月議会で質問をさせていただきました保育士不足の問題については、今後、少子化対策を強力に進めていく上で、避けて通れない大きな課題だと認識しておりますので、引き続き質問させていただきます。

9月に津山市で2歳児が車に置き去りにされ死亡した事件が発生し、通っていた保育園の責任問題が問われました。

保育園の保育時間外でのことだっただけに、保育士離れや保育士不足は、より一層深刻になることを危惧しております。

実際に、事故後に私のところにも保育士から離職等の相談がいくつか寄せられていますが、こうした相談があるということは、現場で働いている保育士が、未来ある大切な子どもの命を預かっていることを誰より自覚し、責任の重さを感じているからにほかなりません。

保育士の仕事は、現場を離れた今もやりがいがある仕事だと私は思っています。

昔は、子どもが大好きで、夢を持ちながら保育士を目指す学生が多かったと記憶していますが、最近は保育の仕事に興味を持つ学生自体が少なくなって「将来の保育士のなり手不足が深刻になっている」との声を多く聞くようになりました。

そうした中、今月7日、学校法人美作学園が、津山市にあります美作大学短期大学部の2025年度(令和7年度)以降の学生募集を停止することを発表しました。来年度に入学する学生が卒業する2026年3月で短期大学部がなくなってしまうことになりますが、同学部には、保育士を養成する「幼児教育学科」が含まれています。保育士・幼稚園教員養成コースを有する4年制の「児童学科」はこれまでどおり存続しますが、保育士の養成において短期大学部が果たす役割は小さくなく、現場で子どもたちの日々の成長を温かく見守りながら保育士という仕事に誇りをもって携わってきた私にとっては、非常にショックなニュースでした。

少子化の進行による18歳人口の減少や、4年制大学志向など近年の若者意識等の変化に伴い、短期大学部の入学者が減少し、定員を充足できない状況が続いていたことから、やむを得ない経営判断だとは思われますが、これまで当学部から多くの立派な保育士が社会へ巣立っていたことを思うと、残念でなりません。

また、「待ったなしの少子化対策」と言われている中、保育士のなり手が減少傾向にある状況は見過ごせません。

こうした中、地域と連携している保育園では、中学3年生の家庭科の授業の中で保育士体験をし、中学生の時から保育士という職業に触れる機会を持たせるなどの取組をしているところもあります。

保育士確保に向け、将来の保育士の担い手となる若い世代へのアプローチも必要だと思いますが、県ではどのように課題を認識し、どのように対応していくのか、子ども・福祉部長の所見を伺います。(1)

(2)負担軽減

続いて、現場の保育士の負担軽減への対応についてです。

何度もお伝えすることになりますが、保育の現場は、保育士不足、低賃金、難しい人間関係、過重労働といった問題にあふれています。保育士は、大切な命を預かっていることの責任の重さに耐えきれなくなっています。

ただ賃金が低いだけではありません。

日々の保育に加え、持ち帰りの仕事が多く、子ども一人ひとりの保育計画や保育記録などの書き物に追われます。

保育中も子どもたちから目が離せないため、お手洗いに行く時間さえもタイミングを考えなければならず、膀胱炎になる方も少なくありません。

子どもの午睡時間になると小さい年齢のクラスでは10分おきにブレスチェックを行ない、担任は、その日の一人ひとりの子どもの様子を保護者の連絡ノートに書かないといけません。保育士は、昼食も子どもを見ながら交代で短時間ですませています。

降園時間になるとお迎えに来られる保護者対応に追われるため、担任同士で役割分担するなどの連携が必要です。土曜保育になると子どもの数も半分になりますが、職員の数も半分になります。新型コロナウイルス感染症が流行してからは、保育室内のテーブルや椅子、子どもたちが遊ぶおもちゃなどのこまめな消毒に追われ、保育士資格とは直接関係のない仕事もずいぶん増えました。

県が令和4年度に実施した「保育士労務環境実態調査」によると、「現在の職場に対し、改善してほしいと思っていることは何ですか。」という問いに対し、複数回答ありの答えですが、51.0%の方が「職員の増員」を、46.7%の方が「事務・雑務の軽減」を要望しています。この調査結果からも、保育士の負担軽減が早急に対応すべき大きな課題となっていることが伺えます。

県内では、保育士確保のため、独自に就職面接会を開催し、潜在保育士をはじめとする保育人材確保の取組を進めている市町村もあります。県保育士・保育所支援センターでも、市町村やハローワーク等と連携しながら、潜在保育士の掘り起こしや就職支援に力を入れています。こうした取組により、なんとか保育士を採用できたとしても、保育士としての業務環境があまりにもひどくて、短期間で辞めてしまう状況であれば、保育士確保に係る関係者の努力も水の泡です。

保育士の職場定着や離職防止に向けては、現任保育士の負担軽減が何より大事だと考えますが、現在の取組と今後の対応について、子ども・福祉部長に伺います。(2)

(3)配置基準

また、保育士の業務負担を大きく左右する要素として、保育士の配置基準の課題があります。ご存じのとおり、現在の国が定める配置基準は、0歳児3人に対し1人の保育士、1・2歳児6人に対し1人、3歳児20人に対し1人、4・5歳児30人に対し1人の保育士が必要という内容であります。

全国的に、子どもの見守りをめぐる事故が多く発生していますが、恒常的な背景として保育士の人材不足があると言われています。

また、こども家庭庁が本年5月に公表した「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」において、全国の保育所で昨年4月から12月の間、園児の心身に悪影響を及ぼす「不適切な保育」が914件確認されました。不適切な保育は当然あってはなりませんが、その背景にはやはり、保育士が忙し過ぎるという現状があると言われています。

こうした状況などを踏まえ、国は、6月に策定した「こども未来戦略方針」において、1歳児及び4・5歳児の配置基準について、「1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へと改善」する方向性を示しました。

たしかに、保育士の余裕を確保し、質の担保された子ども・子育て支援サービスを確保するためには、子どもに目が行き届く配置基準の改善は有効策となると思われますが、保育士不足の現状では、配置基準の改善に対応できる保育士の確保は容易ではありません。また、先ほどの国の戦略方針において、月一定時間までの利用可能枠の中で、親の就労状況に関わらず時間単位等で柔軟に保育所などを利用できる『こども誰でも通園制度(仮称)』」の創設が併せて打ち出されましたが、この制度は、保育士に従来の保育に加えて新たな保育ニーズへの対応を求めるものであり、保育士へのさらなる負担の増加が危惧されるところです。

本県において、特に県北の保育士不足が加速していく中、国が定める新たな配置基準について、どう考えていますでしょうか。子ども・福祉部長の所見を伺います。(3)

(4)処遇改善

この項の最後に、保育士の処遇改善についてであります。

これまでも保育士の処遇改善措置が実施されてきましたが、保育士の賃金水準は、今もなお全産業の平均賃金と比較して月収で5万円ほど低い状況です。

保育園に預ける保護者のなかには、保育士の待遇を良くしてほしいと願う声も聞かれます。保育士に一定の給与水準の安定した処遇が保障され、安心して働くことができれば、保育士自身が生活していく上での安心となり、ひいては子どもに対するゆとりのある保育にもつながって、子どもたちも楽しい毎日を過ごせます。

先ほど引用した令和4年度の「保育士労務環境実態調査」においては、保育士が現在の職場に対して改善してほしいと希望する項目について、複数回答ありで聞いたところ、1位は、「給与・賞与」で、回答者の72%が要望しています。

また、報道によれば、保育人材の確保が課題となる中、埼玉県や千葉県など4県の知事や副知事が、先月13日に、国に対し、保育士の給与に影響する基準の見直しなど処遇改善につながる取組を求めたとのことです。この4県では、認可保育所などの保育士の給与に影響する「公定価格」が、東京都や大阪府の自治体と比べて低いため給与水準が高い大都市へ人材が流出しているとして、隣接する自治体間で保育士の処遇に大きな差が生じないよう、また、「こども誰でも通園制度」が始まれば、保育需要が増して人材確保がますます難しくなることが予想されるとして、早急な処遇改善を求めたとのことです。

現場を含め、多方面から保育士の処遇改善を求める声があがっています。処遇改善は保育士確保に向けて有効な対策と考えており、他県の動きも参考に、本県でも対策を強化してほしいと考えておりますが、今後の取組について、子ども・福祉部長に伺います。(4)

2.地域公共交通の利用促進について

(1)啓発

JR芸備線については、今議会でも質問が相次いでいますが、私の地元である津山圏域を通る姫新線・因美線も毎年厳しい状況です。JR西日本の公表資料では、1キロ当たりの1日平均利用者数を示す輸送密度は、因美線の東津山-智頭間で130人、姫新線の中国勝山-新見間で132人に過ぎません。

しかし、多くのローカル線がそうであるように、交通弱者と言われる子どもや高齢者にとっては欠かせない交通手段です。

通学のため、毎日鉄道を利用する学生がいます。また、自動車の運転免許証を返納する高齢者だけではなく、もともと免許を取得していなかったり、免許を持っていた配偶者が亡くなられ、鉄道を利用しているというのも現実の地域の姿です。

津山圏域の「公共施設」「教育施設」「医療機関」「商業施設」は、旧津山市街地を中心に、その多くがJR沿線に立地していて、鉄道の利用は買い物や通院、通学といった日常生活に不可欠であり、地域に駅や鉄道がなくなってしまうことは大きなダメージとなることは間違いありません。

JR西日本では「みまさかスローライフ列車」や青春18きっぷなど一時的に利用を呼び込むキャンペーンをされています。一時的には利用者が増えるものの、その利用人数はJRの年間の乗降者数に正確にカウントされていない上、そこからの日常的な利用促進にはつながっていないと感じます。

公共交通の利用促進のためには、まずは、JRなどの地域公共交通が脱炭素など地球環境改善にも有効であり、渋滞の解消など地域の住民にとっても大切なものであることをご理解いただき、住民の日常の移動手段を車から鉄道・バスへの誘導を図ることが必要だと感じます。そのための啓発を、さらに強力に進めていただきたいと考えますが、知事のご所見をお伺いします。(1)

(2)利用促進検討協議会

津山市では今年3月に「津山市地域公共交通計画」を策定し、5年間の計画をスタートさせています。

計画の中では、朝の通学・通勤時間帯に JR 姫新線の津山・姫路方面の列車で JR 津山駅に到着すると乗り継ぐことができる路線バスがないなど,二次交通との乗り継ぎの不便さも課題として指摘されていて、バスの利用も人口減少とともに利用者数が減少しているのが実情です。

一方本県ではJR在来線の維持に向けた取組を強化するため、昨年7月に「岡山県JR在来線利用促進検討協議会」を設置し、今後県内市町村及びJR西日本岡山支社との連携のもとエビデンスに基づいた効果的な利用促進を検討するとして、ワーキングチームにおいて姫新線は5回、今年は因美線も加わり3回開催されているとお聞きしています。

ア ワーキングチーム

ワーキングチームのメンバーには市町村や岡山県、JRの代表者が参加されていますが、オブサーバーとして地域の人たちや、利用されている高校生などに参加してもらい、地域の声を反映できるような場を作ってみてはいかがでしょうか?県民生活部長にお伺いします。(2)ア

イ 議論の方向性等

利用者数や運行本数を増やすということは、非常に困難なことだと思いますが、利便性向上に向けたJRや国への要望活動など、県として積極的にご努力をいただいていることに、県北で生活しているものとして感謝しますし、大いに期待しています。

困難な状況もあると思いますが、津山圏域をはじめ各地域に暮らす皆さんの思いを受け止めていただき、粘り強く前向きな協議を行っていただきたいと思います。協議会における今後の議論の方向性と各種施策の実現の見通しについて、県民生活部長にご所見を伺います。2(イ)

(3)ICOCAの導入

JR西日本は、来年夏に、津山駅にICOCAを導入することを表明しました。ICOCAの導入は、利用者の利便性向上につながるものと考えますが、津山線の他の中間駅では、法界院駅以外は利用できず、かつ、津山駅からICOCAを利用できるのは、津山線経由に限られ、例えば姫新線を利用して新見駅で使うことはできません。

またICOCAの定期券は津山線では使えません。

そこでJR西日本に対してもう少し利便性を向上しなければ県民のためにも利用促進にもならないのではないかと県からも訴えていただきたいのですがいかがでしょうか?県民生活部長にお伺いします。(3)

3.交通事故防止について

(1)横断歩道の改修等

横断歩道のほか、その前方にあるダイヤマークや停止線がかすれていて視認し辛いと言った県民の声を多く聞きます。「信号機のない横断歩道の一時停止率」は上がりましたが、昨年の人口10万人当たりの交通事故死者数は、岡山県が全国ワーストでした。

全国の昨年中の交通事故死者数は、歩行中が最も多く、また場所では交差点内・交差点付近の割合が最も多いといった内閣府のデータもあります。

歩行者の安全の為にも、また、運転者の側から見ても、誰の目から見ても「視認性の高い横断歩道や交差点」の対策が急務ではないかと考えます。

昨今、全国の自治体では白色に限らず様々な意図で色分けをした路面標示をしている交差点が見受けられます。

子どもから高齢者までの全ての人が、安全・安心に移動しやすい街を作っていくには、運転者の視認性や認識性を向上して、更なる交通事故防止に努める必要があると考えます。

先日の私どもの会派の代表質問においても、警察本部長から、「愛ライン」の整備など、横断歩行者等の安全を確保する観点からの横断歩道の改修に努めている旨、ご答弁いただきましたが、こうした視認性を高めるための改修は、どういう方針で、どういう順番で行われているのでしょうか。そして、薄くなった横断歩道の補修も含め、地域の声を反映させる仕組みはあるのでしょうか。

また、2020年に他の県警がアンケートを実施したところ、前方に信号機のない横断歩道があることを示す道路のひし形マークの意味を「知らない」と回答した人や間違った回答をした人の割合が6割超に上がったという結果が出たそうです。歩行者の安全確保の観点からも、このマークについて改めて周知する必要があると考えますが、併せて警察本部長にお伺いします。(1)

(2)自転車

昨今自転車の交通ルールについてよくマスコミでも取りざたされています。

また、全国では交通事故全体に占める自転車の事故の割合は年々増え、昨年は23%に上りました。

歩道などで人とぶつかる事故が目立ち歩行者が亡くなったり、重症をおったりしたケースは年300人を超えています。携帯電話を操作しながら走行する「ながら運転」が後を絶たない上、近年は性能の向上でスピードが出やすくなっています。

自転車は子どもからお年寄りまで手軽に乗れるのが魅力ですが深刻な事故も目立っています。国が今年公表した交通安全白書によると、昨年の自転車関連の死亡重傷事故件数を年齢層別に見ると、65歳以上が最も多く、全体の約4割を占めています。

県警察においては、児童から高齢者まであらゆる世代への交通安全教室を実施しておられますが、こうした事故の発生状況を踏まえ、事故で咄嗟の反応が取りにくい高齢者の方に対し、自転車のルールを周知する方策にさらに力を入れて取り組むことが必要だと考えますが、警察本部長のお考えをお伺いいたします。(2)

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